2020年5月20日、JR東日本251系RE-2編成が所属の東大宮から長野総合車両センターへ廃車回送(配給)されました。
同編成は1990年4月の新製以来、30年にわたって「スーパービュー踊り子」として伊豆方面への観光輸送を担っていましたが、後継の「サフィール踊り子」E261系によって2020年3月に置き換えられ、営業運転を終了していました。

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さて、251系RE-2編成は自力では長野へ向かわず、死神の異名を持つEF64-1031によって牽引される形で最期を迎えました。廃車回送のルートである各路線はいずれも保安装置にATS-Pを採用しており、同じくATS-P設置の東海道線を主戦場としていた251系が自走する分には問題がなさそうに思われます。 しかし、中央本線の高尾以西(以下単に中央本線)には狭小トンネルと呼ばれる断面の小さなトンネルがあります。その一つである笹子トンネルを例に取ると、同トンネルは当初非電化で建設されましたが、その後、煙の問題などから電化がなされました。この時にレール面から架線までは4,200mmとなり、これは通常のトンネルより1,000mmも低い構成です。

これが問題となるのは、万が一トンネル内で何らかのトラブルなどが発生し、パンタグラフを折り畳んだ場合の処置です。「鉄道の技術上の基準に関する省令」の解釈基準では、感電のおそれがあるとして、また、桜木町事故以降は架線の断線による火災事故を防ぐため、トンネル内では架線と折り畳んだパンタグラフまでの距離を最低250mm設けることが義務付けられています。ただし中央本線の狭小トンネルは例外が認められ、200mmまでこの基準が緩和されています。

要するに、パンタグラフを搭載したまま(自力で)中央本線を走行可能なのはパンタグラフ折り畳み時高さが4,000mm以下の車両ということになります。実際に、現行の中央線特急車両であるE353系はその高さが3,950mmであり、また、高さが3,980mmの253系や255系が営業運転を行ったこともあります。
(251系は屋根部分が4,070mm。上記ツイート2枚目の画像を参照すると、パンタグラフ折り畳み時高さは同程度かそれを上回る高さになる)

しかし、ハイデッカー・ダブルデッカー構造により、パンタグラフ折り畳み時高さが4,070mmかそれ以上となる251系は、基準を上回っているため、自走するか否かに関わらず、パンタグラフを搭載して中央本線の狭小トンネルに入ることはできないのです。
このような理由で、EF64形による牽引がなされたものと思われます。また、209系(川越所属)が長野へ廃車回送された際にも同様の理由で機関車による牽引となりました。
(了)
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